今回は、これまでに公開された多くの面接の中から、特に高く評価された就活生4人の自己PRをご紹介します。
実際の自己PRをもとに、どこが良かったのか、どう参考にすればいいのかを私の視点で詳しくお伝えします。内定獲得に直結するヒントが詰まっているので、ぜひ最後までご覧いただけたら嬉しいです。
営業部長としての課題解決力(就活生①)
最初の就活生は、小加さん。課題を見つけて改善する力が強みです。
彼はIT系ベンチャー企業で営業部長を務め、わずか1年で売上を160%にまで伸ばしました。規模としては50名程度の組織とのことです。
成果の背景には、離職率の高さや新人の成長の遅さという課題がありました。そこで注目したのが、研修制度と評価制度の整備です。
教育体制が未整備だったため、誰が教えるかによって育成の質が変わってしまう状況でした。そこで彼は制度面を整えることで、組織の属人化を解消し、全体の底上げにつなげたのです。
この行動力が、営業部門の成果につながったのだと感じました。
成長に貪欲で成果を出せる人(就活生②)
2人目の就活生は、成長意欲の高さが印象的でした。
インターンでは広告会社で働き、初月で12人中1位のMVPを受賞しています。最初はクリック数を報告するだけの仕事でしたが、それだけでは物足りないと感じたそうです。
そこで自分から提案を始め、広告の写真を変更したり、ターゲットを広げるなどの工夫を実施。その結果、成果が改善し、複数案件を任されるようになりました。
学業面でも手を抜かず、すべての授業で単位を取得。さらに、哲学や芸術学といった他学部の分野にも挑戦し、自分の視野を広げてきたそうです。
こうしたエピソードから、入社後も成長し続ける人材だと感じました。
粘り強く動ける人(就活生③)
3人目の就活生の強みは、何より「粘り強さ」です。
予備校でのアルバイト中、長期合宿型の特別企画を立ち上げて成功させた経験があります。7人のチームリーダーとして、35人の生徒を担当しました。
忙しい大学生活のなかでも、3日に1回はメンバーとミーティングを行い、妥協せず計画を進めたとのこと。内容にもとことんこだわり、実行までやり抜いた姿勢が印象的です。
最終的には、校舎長からも高く評価され、自信につながったそうです。人に対しても、物事に対しても諦めずに向き合える強さは、今後どの職場でも活かせると感じました。
困難を乗り越えたやり抜く力(就活生④)
最後の就活生は、困難を乗り越えた実体験から「やり抜く力」をアピールしていました。
彼は高校時代、230人規模のバスケ部でレギュラーを務めていましたが、2年生の冬に脊椎分離症という大けがを負ってしまいます。
医師からは引退をすすめられるほどの状態でしたが、それでも「絶対に諦めたくない」と決意。骨が自然にくっつかないなら、体幹を徹底的に鍛えようと方向転換し、半年間のリハビリに取り組みました。
その結果、最後の大会前に復帰することができ、チームと自分の両方が納得できる成果を残したそうです。
こうした経験が、仕事においても強い意志で行動し続ける姿勢につながっていると感じました。
自己PRは「実体験」と「結果」がポイント
今回紹介した4人に共通しているのは、経験ベースで話していることと、具体的な成果があることです。どれも理想論ではなく、実際にやってきたことを伝えている点が好印象でした。
自己PRが苦手な方は、まず自分が頑張ったことを整理して、それをどう伝えるかを意識してみてください。形式ではなく中身が大事です。
自己PRで差がつく就活生たち|成功例と業界適性を徹底解説
今回は4人の自己PRを取り上げて、それぞれの強みやポイントを見ていきました。中でも印象的だったのが、ほずみさんのプレゼンです。
あの内容は、新卒どころか中途採用でも通用するレベルです。とはいえ、「自分もあれぐらいできないとダメなの?」と焦る必要はありません。
大事なのは、私たちが真似できる要素を見抜くこと。例えば、彼は1分という短い中に「課題」「対策」「成果」を無駄なく整理して伝えていました。これは、就活で評価される“構成力”の好例です。
成果から先に話し、背景や工夫を後から説明する。この順番が、聞き手に伝わりやすい秘訣です。学生であっても、OB訪問などを通じて社会人に壁打ちすれば、伝わる表現力は必ず上がります。
さらに、身近な社会人――たとえば両親にエントリーシートを読んでもらい、「この説明で分かる?」とフィードバックをもらうのも効果的です。
では、どういった業界なら彼らの強みが活かせるのでしょうか。
例えば、ほずみさんのように裁量を求めるタイプには、若手でも実力が試される業界が向いています。具体的には商社、コンサル、外資系企業、そしてベンチャーなどが挙げられます。
逆に年功序列や安定志向が合っているなら、商社や大手メーカーも選択肢に入るでしょう。自分が「どんな働き方をしたいか」で判断するのが大切です。
一人目のPRは“構成美”が光る
一人目は、落ち着いた話し方がとても印象的でした。抑揚は少ないのに、なぜか耳に残る。不思議と引き込まれる話し方でした。
さらに驚いたのは、1分間に2つのエピソード――学業と課外活動の両方を入れていたこと。これは通常、やらないほうがいいとされている構成です。
ですが彼女の場合は「両立力」こそが最大の武器。だからこそ、この構成が活きました。
彼女には、細部への注意力が求められる職場が合っています。たとえばテレビ局のファクトチェック、出版社の校正部門、メーカーの品質保証などが向いているでしょう。
二人目の“しつこさ”は戦略だった
二人目の自己PRでは、「しつこくやった」というフレーズが何度も登場しました。あれは、単に口癖ではありません。記憶に残すための、戦略的な繰り返しだったのです。
就活では、よく「粘り強さ」がPRされますが、それだけでは埋もれてしまいます。稲山さんは「しつこさ」という言葉をあえて選び、強烈に印象づけました。
このように、自分がどう記憶されるかを意識した表現は、倍率が高い企業では特に有効です。
彼女のように粘り強く調べる力がある人は、アナリストやリサーチャー職に向いています。また、長期戦が前提の営業、特に不動産のような高額商材にも適性があるでしょう。
3人目の根性は“本物”だった
「根性あります」という自己PRは、学生には人気ですが、社会人からは疑いの目で見られがちです。実際、「それって根性?」と思われる内容も多いからです。
でも須藤さんは違いました。本当に困難を乗り越えていて、聞いていて納得できる内容でした。
だからこそ注意したいのは、隣に須藤さんのような人がいた場合、自分の根性アピールは見劣りしてしまうという点です。
こうしたときは、自分の強みをキャリアセンターや先輩と一緒に見直し、「別軸」で勝負する戦略も必要です。
須藤さんが向いているのは、伝統的な日本企業。ただし、体力勝負の現場で“兵隊扱い”されるリスクもあります。
大手企業に内定をもらっても、すぐ決めずに、必ずOB訪問や社内見学を通じて「自分をどう見ている会社か?」を確かめてください。
須藤さんのような人は、将来リーダーや経営層を担う器があります。だからこそ、“指揮官として見てくれる会社”を選ぶべきです。
最後に伝えたいこと
共通していたのは「自分の強みを具体的に伝え、記憶に残す力」です。
面接を控えている方にお伝えしたいのは、「1社目で落ちるのは当たり前」ということ。だから、本命企業に最初から挑むのはやめましょう。
まずは練習のつもりで受けて、自分の伝え方をブラッシュアップしてください。そして、自信を持って本番に臨んでください。
準備と戦略次第で、自己PRは誰でも強力な武器になります。就活は、まだまだこれからです。あなたらしく、堂々と挑んでください。